もしかしたら、本当は触れていないかもしれない。 彼女の色に染まった空気が俺の手を掠(かす)めただけかもしれない。 でも、あの一瞬。 心臓に電流が走って、勝手に意思を持って暴れまわった。 その日を境に、彼女が近づく度に心臓が勝手な行動をし始めて、自分の体と心臓が切り離されたようだった。