『お前の楽器吹く姿、もう見られなくなるのか。』

幼馴染みの何気ない言葉。


そうだ、

僕は音楽が好き。

歌が好き。

クラリネットが好き。



『もう少しだけ』

嫌いになるまで、

もう見たくない、そう思うまで。



もう少しだけ。




退部届けの用紙をくしゃくしゃに丸めて、渡り廊下の外れに置いてあるゴミ箱に捨てた。