『好きだから』 そんな理由だけではもう続けられない。 「お前が楽器吹く姿、もう見られなくなるのか。」 「好きなことを好きって言えて、堂々としてるのが羨ましいよ。」と彼は言った。 『好きを好きと言えない』 彼の言葉に不思議に思って、 「広大は言えないの?」そう聞くと、 「あーちょっと難しいんだよなー」と笑いながら言った。 少し寂しそうに見えたのは気のせいだろうか。 そう言って歩いて行ってしまった。