「ママ、ここは誰のお家なの?」

私と周晴さんの間にいた大晴が家の前を指差した。

「ここはね、周晴パパのお家なの」

私は大晴の質問に答えた。

「周晴パパ?」

大晴は周晴さんを見あげた。

心配していた親子の関係は良好で、大晴は周晴さんのことを“周晴パパ”と呼んで彼に懐いていた。

いつかは、周晴さんのことを“パパ”って呼んでくれるかな…?

「うん、パパが大晴が生まれるもっと前に住んでいた家なんだ。

今はパパのお父さん――大晴のおじいちゃんが住んでいるんだ」

周晴さんは大晴の質問に答えた。

「おじいちゃん?」

「パパとママは、今からおじいちゃんに会いに行くんだ」

そこまで言うと、周晴さんは雪穂さんに視線を向けた。

「雪穂さん、この近くに公園がありますので大晴をそこで遊ばせてくれませんか?」

そう言った周晴さんに、雪穂さんは首を傾げた。