「いいですよ、家族になるんですから」

そう答えた雪穂さんに、
「それじゃあ、お言葉に甘えます」

周晴さんは言い返した。

「周晴さん」

「うん」

「それじゃあ、大晴のお迎えに行ってきます」

私は声をかけると、周晴さんと一緒にその場を離れた。

「はい、行ってらっしゃい」

そう言った雪穂さんに対し、お兄ちゃんは手を振って私たちを見送っていた。

周晴さんと一緒に家を出ると、
「希里恵」

手を差し出してきたので、私はその手を繋いだ。

またこうして周晴さんと手を繋いで一緒に歩く日がくるとは思わなかった。

「大晴――息子に、俺のことを受け入れてもらえるかな?」

不安そうに言った周晴さんに、
「時間はかかるかも知れないけれど、受け入れてもらおう。

私も一緒に手伝うから」
と、私は言った。