リボン~もう1度君に、プロポーズ~

「すまん」

お兄ちゃんは椅子から腰をあげると、
「タバコ、吸いに行っていいか?」
と、私たちに聞いた。

「どうぞ」

雪穂さんが返事をしたのを確認すると、お兄ちゃんはベランダへと足を向かわせた。

その後ろ姿を見送ると、
「希里恵ちゃん」

雪穂さんに名前を呼ばれた。

「はい」

私が返事をすると、雪穂さんは私の手を繋いだ。

「大晴がお腹にいることがわかって、両親から生むことを反対された時、私たちは何て言ったか覚えてる?」

「えっ…」

何でそんな話をしてきたのだろうと思ったけれど、
「――大丈夫、って…」

その時のことを振り返って、私は雪穂さんに言った。

「うん、言った。

でも、それよりももっと大切なことを言ったわ」

雪穂さんは言った。