「大晴、おはよう」

パジャマからスーツに着替えたお兄ちゃんがネクタイを締めながら、大晴にあいさつをした。

「風斗パパ、おはよう」

大晴は笑顔であいさつを返した。

「それじゃあ、朝ご飯にしましょうか」

雪穂さんの声を合図に、私たちは椅子に腰を下ろした。

テーブルのうえには納豆ご飯と卵焼きと焼き鮭、小松菜とにんじんのみそ汁だった。

「いただきまーす」

私たちは手をあわせると、一緒に朝ご飯を食べ始めた。

朝ご飯を食べ終えると、
「希里恵、まだかー?」

「ママ、早くー」

玄関にいるお兄ちゃんと大晴に声をかけられた。

「もう少し待っててー」

カバンの中を見て忘れ物がないかチェックをすると、グレーのジャケットを羽織った。

よし、準備万端だ!