リボン~もう1度君に、プロポーズ~

「違うの、そう言う話じゃないの。

と言うか、あの人――乙國周晴さんは私が大晴を生んだこと自体を知らないから」

私は言った。

「乙國って、希里恵が前に勤務してた『オトクニ広告株式会社』のことを言ってるんだよな?」

そう言ったお兄ちゃんに、私は首を縦に振ってうなずいた。

「今は副社長になってる。

私が勤めていた頃は同じ部署で働いていて、周晴さんは私の上司で教育係だったの」

私は、6年前に起こった出来事を兄夫婦に全て話した。

「そんなことがあったのね…」

私から話を聞き終えた雪穂さんは、それは悲しそうに言った。

「周晴さんのお父さん――社長から、会社のために息子のために身を引くように言われて、それで…」

そこまで話をして、私は口を閉じた。