リボン～もう１度君に、プロポーズ～

もう２度と周晴さんに会うことはないと思っていた。

なのに、
「希里恵」

仕事が終わってビルを出た私を待っていたのは、周晴さんだった。

「お疲れ様です、副社長…」

あの日に周晴さんと思わぬ再会をして、今日で２週間を迎えた。

「副社長って…」

周晴さんはやれやれと言うように息を吐いた。

「だって、今は副社長じゃないですか」

そんな彼に向かって私は言い返した。

あの日の再会で知ったことだが、周晴さんは『オトクニ広告株式会社』の副社長になったことを知った。

彼がそんな高い地位についていたことと改めて知らされた身分差に、私は戸惑うことしかできなかった。

そして…あの日の再会以来、周晴さんはこうしてビルの前で私が出てくるのを待つようになった。