リボン~もう1度君に、プロポーズ~

「子供の名前って、もう決まったか?」

「あっ…」

お兄ちゃんに言われて、私は気づいた。

「お前…」

「…すみません」

「まあまあ」

雪穂さんが私とお兄ちゃんの間に入ってなだめてきた。

「希里恵ちゃんは何か考えてる?

例えば、この字をどうしても使いたいとか」

そう聞いてきた雪穂さんに、
「そうですね…。

どうしてもと言うか、“晴れ”って言う字が入っていたらいいなって」

私は答えた。

「天気のか?」

「うん」

私が首を縦に振ってうなずいたら、お兄ちゃんは考えた。

「“大晴”って言うのはどうだ?

“大きく晴れる”って書いて、“大晴”ってどうだ?」

お兄ちゃんが言った。

「タイセイ…大きく、晴れる…大晴」

私はお兄ちゃんが提案したその名前を呟いた。