リボン~もう1度君に、プロポーズ~

ドアを閉めると、
「大丈夫、大丈夫だからね」

雪穂さんは私を抱きしめた。

ポンポンと優しく頭をなでてくれるその手に、私の目から涙がこぼれ落ちた。

「大丈夫だから…」

小さな子供のように言い聞かせている雪穂さんに、私は泣きながら何度も首を縦に振ってうなずいた。

「望まれない命なんて、この世にないんだから…。

希里恵ちゃんは、お腹の中の子供のことだけを考えて…ね」

私は雪穂さんの背中に両手を回して、彼女の胸に顔を埋めて泣いた。


どれだけの時間が経ったのだろうか?

ガチャッとドアが開いて、お兄ちゃんが部屋に入ってきた。

「――風斗…」

雪穂さんがお兄ちゃんの名前を呼んだ。

お兄ちゃんはひどく疲れた様子で、ベッドに腰を下ろした。