リボン~もう1度君に、プロポーズ~

「お腹の中の子には何の罪もないだろう!

それなのに堕ろせなんて、よくそんなことが言えたな!」

「お義父さんとお義母さんでも絶対に許しません!」

お兄ちゃんと雪穂さんは一緒になって言い返した。

「そんなことを言っているのは、お前たちの方だろ!

父親の素性もわからない子供なんか妊娠しやがって!」

大きな声で怒鳴っているお父さんと大きな声で泣いているお母さんと、リビングはめちゃくちゃなことになっていた。

「そんなことを理由にして堕ろせなんて、命をなんだと思ってるんだ!」

それに対して、お兄ちゃんは怒鳴り返していた。

「希里恵ちゃん」

雪穂さんは私の手を引くと、
「ここを出ましょう」
と、言った。

私は雪穂さんと一緒に荒れているリビングを出ると、兄夫婦の寝室に連れて行かれた。