寝室に足を踏み入れると、シャッとカーテンを開けた。

「お兄ちゃん、朝ですよー!」

私がきたとたんに、頭からふとんをかぶった当人に声をかけた。

「後5分だけ」

ふとんからパーにした手を出したお兄ちゃんに、
「昨日もそう言って15分も寝たでしょう!」

私はバッとふとんをはいだ。

「わっ、寒い!」

パジャマ姿のお兄ちゃんはブルリと躰を震わせると、ベッドのうえで丸まった。

「大晴を起こしに行くから、後は自分で自分の用意をしてよ!」

「へーい」

「“へーい”じゃなくて、“はい”でしょう!

大晴がマネするからやめて!」

「わかったよ、もう…」

お兄ちゃんが躰を起こしたのを確認すると、私は寝室を後にして今度は自分の寝室へと足を向かわせた。