リボン~もう1度君に、プロポーズ~

「取引先の会社が融資を援助してもらう代わりに、自分の娘と周晴を結婚すると言う提案を出してきたんだ」

「政略結婚、ですか…?」

私の言葉に、乙國さんは首を縦に振ってうなずいた。

「だから…申し訳ないけれど、息子と別れて欲しいんだ」

乙國さんは言った。

私は何を言えばよかったのか、わからなかった。

「会社のためを思うなら…何より、息子のためを思うなら、別れて欲しいんだ」

どうして周晴さんは、教えてくれなかったのだろうか?

乙國さんの言う通り、私に心配をかけたくなかったからなの?

「申し訳ないけれど、これは会社の今後に深く関わることなんだ。

あの子は優しいから、君に言えなかったと思う。

言ったところで、君を苦しめてしまうことを理解していたんだから」

周晴さんを、優しい人だと思っていた。