リボン~もう1度君に、プロポーズ~

周晴さんから何か話があっただろうかと振り返ったけれど、特にこれと言った心当たりはなかった。

「そうか…」

乙國さんはそう返事をすると、
「あの子は、田渕さんに心配をかけたくなかったかも知れないな」
と、言った。

「えっ…?」

何を?

と言うか、何の話をしているの?

乙國さんは私を見つめると、
「申し訳ないんだけど…あの子と、別れて欲しいんだ」
と、言った。

何を言われたのかわからなかった。

「――わ、別れ…?」

私の聞き間違いじゃないかと思った。

「実は…会社は今大変なことになっていてね、いつ倒産するかわからない状況になっているんだ」

乙國さんが言った。

「そ、そうなんですか…?」

知らなかった会社のことに、私は戸惑うことしかできなかった。