リボン~もう1度君に、プロポーズ~

「えっ、あの…?」

何が起こったのか、全く理解ができなかった。

「乙國さん…?」

「――2人で…」

「えっ?」

「2人で、ここを抜けないか?」

何を言われたのか、全く理解ができなかった。

私たちの間に沈黙が流れた。

「――ごめん…」

長かったような、短かったような時間の後で、周晴さんが呟いているような声で謝って、つかんでいた手を離した。

「仕事以外で田渕さんともっとしゃべりたいって思ったんだ」

「私と…?」

そう聞き返した私に、
「田渕さんのことをもっと知りたいんだ。

だから…」

周晴さんはそこで言葉を終わらせた。

「ごめん、田渕さんからして見たら迷惑だったよね?

何を言ってるんだって思ったよね?

と言うか、セクハラになっちゃうか…」

周晴さんはそう言って自嘲気味に笑った。