目を開けると、カーテンのすき間から光が差し込んでいた。

――ずいぶんと、懐かしい夢を見たな…。

私はフッと笑うと、隣にいる我が子に視線を向けた。

4歳の息子がよく眠っていた。

ストレートの真っ直ぐな黒い髪と奥二重の目は、やっぱりあの人に似てるな…と、私は思った。

「――さて…」

息子の寝顔をまだ見ていたいけれど、朝は忙しい。

息子を起こさないようにしてベッドを後にすると、パジャマからシャツとグレーのパンツに着替えた。

部屋のドアを開けると、みそ汁のいい匂いがしていた。

トイレを済ませ、洗面所で顔を洗って、髪を整えると、キッチンに顔を出した。

「おはようございます、雪穂さん」

キッチンに立って朝食を作っていた彼女――雪穂さんにあいさつをすると、
「おはよう、希里恵ちゃん」

あいさつを返してくれた。