「玉の輿って…」

「女の子の永遠の夢じゃん!」

「私は、そう言うのに興味がないなあ」

呟くように言った私に、
「何で?」

川瀬さんは聞き返した。

「何でって…何か、疲れそうじゃない?

それに私たちみたいな人が玉の輿なんて無理だと思うよ。

婚約者がいるかも知れないじゃない」

そう言った私に、
「婚約者…ううっ、確かにそうか」

川瀬さんは息を吐いた。

「ああ言うのには子供の頃から決められた許嫁って言うヤツがいるよね、いるに決まってるよね…」

「いや、“かも知れない”って言っただけだから…」

やさぐれ気味になっている川瀬さんをなだめていたら、昼休みが終わってしまった。

とは言え、私も密かに彼に憧れていた1人だった。