リボン~もう1度君に、プロポーズ~

「今日まで希里恵のことを忘れたことなんて、1度もなかった」

わかっているはずだ。

私と彼は結ばれてはいけない運命なんだと、わかっているはずだ。

「だから」

「――ごめんなさい…」

周晴さんの話をさえぎるように、私は謝った。

「周晴さんとは、つきあえないです」

そう言った私に、奥二重の目が大きく見開かれた。

「どうして?

どうして、俺とつきあえないんだよ…。

さっき、“つきあっている人はいない”って…」

「…子供がいるの」

私は言った。

「子供…?」

周晴さんは何かに気づいたようだった。

ごめんね、大晴。

あなたを告白を断るための理由として使ってしまって。

胸の痛みを感じながら、心の中で息子に謝った。