これだけは聞き流せない

こーくんのことを「物」みたいに言われるのも、扱われるのも

それだけは許せない




『…ねえ、つむぎちゃん』

『ん?』

『ぼくは、『物』なの?』


小さな頃の、こーくんのその問いかけが
今でも強く記憶に残ってる


『どうして、みんな
すきかってなことを言って
それをぼくに押しつけようとするんだろう』


みんなのこーくん

こーくんはこうじゃなきゃいけない

こうあるべき


周りが勝手に築いた理想像

こうであったらっていう希望と願望



『…こーくんは、こーくんだよ』



そんなの関係ない

こーくんはこーくんだ


ひとりの『人』だ


おもちゃでも機械でも

都合の良い道具でもない

誰かの気持ちを満たすための存在じゃない



『大丈夫だよ
ちゃんとこーくんをこーくんとして見てくれる人はいるから』

『つむぎちゃんみたいに?』


そう言って、嬉しそうに笑ったこーくん



その時の笑顔もいまだに忘れられない