公園の中を歩き、玲奈と透は虫のいそうな草むらなどを探す。虫を探す透に玲奈が言った。

「草むらということは、ダニがいるかもしれない。ダニの媒介する病気にはクリミア・コンゴ出血熱、ダニ媒介脳炎、重症熱性血小板減少症候群、日本紅斑熱など恐ろしいものが多いわよ」

「それ、今言うのやめろよ……」

蟻などの昆虫を何匹か捕まえ、玲奈は満足げに微笑む。帰ったらまたすぐに研究だ。サボろうと透は決意する。

「よし、帰るぞ」

玲奈がそう言い、透は入ってきた方向とは逆の道を歩いていく。散歩がてら帰ることにしているためだ。また、逆の方向には大きな池があり、鯉がたくさん泳いでいる。玲奈のお気に入りの場所なのだ。

「さて、今日も立派な鯉が見れるといいな」

そう言う玲奈はどこか無邪気で可愛らしい。透はパッと目をそらした。いつも急に笑顔を見せるので、ドキドキしてしまう。

池が近づいてくると、透と玲奈は足を止めた。いつもと公園の様子が違う。