「俺は杏奈とこの子を全力で守っていきたいと思ってる。だから杏奈の素直な気持ちを聞かせてほしい」

杏奈の華奢な体がビクリと揺れた。

「私、は」

「杏奈が好きなんだ」

思いの丈を正直にぶつける。逃げられない状況で悪いとは思ったが、言わずにはいられない。

どれだけ探したと思っているんだ。会いたくてたまらず、やっと会えた時は緊張から体が震えた。普段オペでもここまで緊張はしない。

杏奈にだけこんなにも感情を揺さぶられる。

「離さない、もう二度と」

「みつ、い、先生」

「だから諦めて俺のものになれ」

「それ、は、できま」

さらにきつく抱きしめると杏奈はそこで言葉を詰まらせた。ここまで言っても伝わらないのか。

よっぽど嫌われているのかもしれない。

「一生杏奈のそばにいたい。杏奈も子供も俺が守ってみせるから」

「どうして、ですか」

弱々しく力ない声でそう囁く杏奈は、必死に何かを堪えているように思う。

「どうして私なんかを、そこまで」

「そう言われても気持ちの部分は説明が難しいな。ただ愛している。それだけだ」

「……っ」

さらっと言ったのがまずかったらしい。

杏奈は涙をためた瞳でじっと俺の顔を見上げた。

しかし、その顔は真っ赤に染まっている。