透き通った肌に、桜色の唇、長い手足。そして小さな体で懸命に呼吸をする姿が、なんとも言えない気持ちにさせた。

俺の子ではないと言われたが、ひと目見た瞬間運命のような目に見えない何かで繋がっていると確信した。

直感といえばそうなのかもしれない。

この子は俺の子だと本脳が告げている。

杏奈は雪のような真っ白な肌を紅潮させて、全力で出産に挑んだ。その姿はとてもつらそうではあったが、生まれた瞬間大粒の涙を流して我が子の誕生を喜んだ。

そんな涙すらも愛おしいと思ってしまうほど、杏奈のすべてがほしくてたまらない。

「パパさんにそっくりな美人ちゃんですね」

「ええ、本当に可愛いです」

親ばかだと言われても構わないし自覚もある。眺めているだけで自然と頬がゆるみ、なかなか戻らない。

この純真無垢な天使を生涯をかけて守ってやりたい。誰の手にも触れさせたくはない。

そのために俺がすべきなのは杏奈の心を手に入れることだ。

分娩後の処置の後で杏奈は病室へと移った。

はるばるこの小さな町にきて杏奈と再会し、強引に出産に立ち会い、今もこうして同じ空間にいる。

正攻法ではないが、杏奈にそれは通じないとわかったので多少強引な手に出てしまった。