秘密の出産をするはずが、エリート外科医に赤ちゃんごと包み愛されています


私がきたのを見て「タクシーで行きましょうか?」と気を利かせてくれた。

しかしタクシーは停まっておらず、呼ぶとなると時間がかかるだろう。バスもすぐにきそうにはない。

「!」

バス停で立ち往生していると、股からじわっと生温い何かが流れてきた。

な、なに?

破水したの?

それとも出血?

どちらにせよ、ただ事ではない。

近くにあったお手洗いに行って確認すると、サラサラとした血液が大量に出ているのがわかった。

どうしよう、この時期の出血ってよくない兆候よね?

それともおしるし?

でもこんなに出るものなの?

初めてのことにわけがわからず、パニックに陥りそうになる。

震える足でなんとか外に出ると、心配した安成さんが待っていてくれ、慌てた様子で駆け寄ってきた。

「どうでした?」

「しゅ、出血してて、急いで病院に行かなきゃいけないんですけど」

「え!? 芹沢さんはそこのベンチに座っていてください! 僕はタクシーが走っていないかその辺を探してみます!」

安成さんに言われ、ベンチがあるところへ移動する。

出血したせいなのかフラフラして目の前が霞み、まっすぐに立っていられない。

どうしたというのだろう、さっきまではなんともなかったのに。

赤ちゃん、大丈夫よね?

「何かあったのか?」