離れていても想っていてくれた。こうして娘も可愛がってくれる。目尻が優しく垂れ下がった宏太さんの顔って、すごく好きだなぁ。
その瞳は愛であふれ、見ているこっちまで幸せな気分になれる。
微笑ましい気持ちでその光景を見つめていると、宏太さんが私の視線に気づいた。
「しっかり守ってやらないとな」
「はい、そうですね」
お腹を痛めて生んだ子がこんなに可愛いとは思ってもみなかった。
「何があっても守ってみせます」
「ああ。杏奈のことも俺がしっかり守ってやるから安心しろ」
「私は大丈夫ですよ。強くならなきゃ母親にはなれませんので」
「またそうやって強がろうとする」
呆れたように笑い、肩を竦める宏太さん。
「俺の前でまで強くいる必要はない。俺にだけは遠慮なく頼ってくれ」
強くならなきゃいけないと思っていた。でも宏太さんにだけは甘えてもいいのかな。そう思わせてくれた初めての人。
「あれ?」
私はふと扉の磨りガラス部分に映る人影に気がついた。誰か面会にきてくれたのだろうか。
けれど一向に入ってくる気配はない。
シルエットから思い当たる人物が想像できた。
「安成、さん?」
扉を開け病室から顔を出す。そこにはバツが悪そうな表情を浮かべる安成さんがいた。
「すみません、突然」
「いえ、大丈夫ですよ」



