「んんっ」
舌が上唇をなぞったかと思うと口内に侵入してきた。徐々に体が火照って目の前がクラクラし始める。
「あっ」
唇が首筋に移動し、快感の波が全身を襲った。どうしようもないほどの熱と温もりを肌に感じる。
このまま宏太さんの熱に溶かされてしまいそう。
「止まらなくなりそうだ」
「だ、だめ、です」
「わかってる。でも抑えられそうにない」
余裕の感じられない声に胸の奥が甘く疼いた。
優しく丁寧に頭を撫でてくれていた手が胸元へとおりてきたその時、コットの中から大きな泣き声が聞こえ、私たちはふと我にかえった。
緊張で宏太さんの顔が見られない。それに自分でも耳まで真っ赤なのがよくわかる。また笑われてしまうのではないだろうか。
そう思い、恐る恐る顔を上げた私の目にほんのり頬を赤くした宏太さんの姿が飛び込んできた。
う、うそ、照れている?
信じられない気持ちで宏太さんを見つめていると、じわじわと胸に温かいものが込み上げてきた。
「ふふ」
「何がそんなにおかしいんだ」
「いえ、なんでもありません。よしよし、今抱っこするからね」
「逃げるなんてずるいぞ。それと抱っこは俺がしよう」
これを幸せ以外のなんと呼ぶのだろう。
微笑ましく娘を抱き上げる宏太さんは、しっかりとした父親の顔だ。



