恋愛なんて興味がなさそうで、これまでどれだけ言い寄られても一切なびかなかった杏奈が俺を?

頭が真っ白になるとは、まさにこのこと。熱を孕んだ瞳で見つめられ、とうとう我慢ができなくなった。

「絶対に離さない。だから俺と結婚しよう」

力強く抱きしめると、杏奈は恐る恐る俺の背中に腕を回し力を込めた。

たどたどしい動きに胸が撃ち抜かれ、激しい動悸がする。

「はい、よろしくお願いします」

ああ、夢を見ているみたいだ。まさかこんな日がくるなんて。

これは現実なんだよな?

夢なら途中から夢だとわかるが、これは夢ではない。杏奈を抱きしめる感覚も、抱きしめ返してくる腕の温もりも、すべて本物だ。

杏奈が俺の腕の中にいる。

これほど幸せなことがあるだろうか。

このままどうにかなってしまうんじゃないか。

杏奈の温もりを忘れたくなくて、何度も何度も腕の中に閉じ込めた。

そのたびに杏奈は小さく声を上げ、恥ずかしそうに目をそらす。

気持ちが通じ合い、受け入れてもらえることの喜び。ますます愛しさが増して、この上ない幸福に包まれる。

絶対にこの手で守ってみせる。

俺は再び心にそう強く誓った。