はじめての恋は、きみと一緒。

「うん、わかった。これ渡しておくね」

「本当? ありがとう!」

 安心した表情になった海乃ちゃんは、明るい声を出す。

 その様子を見て、わたしは自分の気持ちを伝えることができなかった。

 わたしも敦瑠が好き。

 それを言葉にしたら、海乃ちゃんと気まずくなってしまう。

 頼ろうとしたのにわたしが同じ人を好きだなんて、仲が悪くなるに決まっている。

 いろいろ考えたわたしは、黙ってしまった。

 だって、友達に嫌われたくない。でも……本当のことを言わないでいいの?

「沙耶ちゃん、よろしくね!」

 悩んでいる間に話は進んでしまい、うれしそうにそう言った海乃ちゃんが自分の教室へと向かう。

 どうしよう……。

 笑顔で別れながら、わたしの胸はズキズキと痛んでいた。



 頼まれた連絡先、敦瑠に渡さないと……。

 だけどそれを渡したら、わたしは海乃ちゃんのことを応援していることになる。

 わたしだって敦瑠のことを好きなのに。

 午後の授業は全然頭に入らなくてぼうっとしてしまった。

 放課後、菜々花は梶本くんと帰ると言っていたので、敦瑠にメッセージを送ってみた。

『ちょっと話があるから、クラスまで来て』と伝えると、『わかった』と返事がきて憂鬱な気分がさらに増す。

「今日、絢斗くんと一緒に帰るの! 沙耶、バイバイ!」

「うん、また明日ね!」