はじめての恋は、きみと一緒。

 相談と言っていたし、静かな場所がいいんだろうな。

 海乃ちゃんとわたしは空き教室の前の廊下まで移動した。

 まったく人が通らないというわけではないけど、教室よりは静かだ。

「それで、どうしたの?」

 空き教室の前にたどり着いて尋ねると、振り返った海乃ちゃんが恥ずかしそうにうつむいて話し出した。

「敦瑠くんのことで相談があって……」

「敦瑠?」

 急に胸がざわざわしてきた。

 海乃ちゃんと敦瑠が話しているところを見たことがないし……。

 相談って……話の先を聞きたくないような気分になるけれど、どうにもならない。

「うん。わたし敦瑠くんのこと……好き、なんだけど」

 海乃ちゃんの言葉に、わたしの体は硬直した。

 敦瑠のことを……好き?

「一目惚れっていうか、その、かっこいいなって」

「あ……そ、そうなんだ」

「沙耶ちゃんって敦瑠くんと仲いいよね? それでお願いしたいことがあって。これを渡してもらいたいんだ。連絡先が書いてあって……」

 海乃ちゃんがポケットから取り出したのは、花柄のメモ用紙。

「敦瑠くんのことが気になってることも話してくれるかな? 何度か敦瑠くんに声をかけようと思ったけど、恥ずかしくなっちゃってダメで……。応援してくれるかな?」

 意を決したようにそう言ってきた海乃ちゃんに、どういう反応をしたらいいのかわからない。

 海乃ちゃんは敦瑠と仲良くなりたいんだ。

 好きって言ってるもん。だから、仲良くなって付き合えたらいいなって思っているのだろう。

 そんな海乃ちゃんの連絡先を敦瑠に……?

「沙耶ちゃん?」

 メモ用紙を見つめたままになっているわたしに、海乃ちゃんは首をかしげる。

 はっとして、すぐに笑顔を作った。