敦瑠と別れて音楽室の鍵を担当の先生に返し、自分のクラスに戻ると、友達の菜々花《ななか》が気づいて声をかけてきた。
「沙耶、シャーペンあった?」
「うん、あったよ。ごめんね、待たせて。遅くなっちゃった」
落ち着かない気持ちのまま自分の席に置いている鞄を持ち、菜々花の席へ向かう。
菜々花は、鎖骨までの黒髪にぱっちりとした二重のかわいい女の子。
一年生のときに仲良くなって、二年生のクラス替えでも同じクラスになることができた。
なんでも話せる、一番の友達。
菜々花の前の席から椅子を借りて座ると、わたしは無意識に大きく息をついてしまった。
「どうしたの?」
「あ、ううん。なんでもない」
心配そうな表情で尋ねてきた菜々花に笑って答えたけど、「本当?」と真っ直ぐわたしを見てくる彼女から目を逸らす。
敦瑠との会話を思い出して、それがなぜか気になってしまうし、よくわからなかった。
やっぱり黙っているのは落ち着かないから、話しておこう。
「実はさっきね、敦瑠が女の子に告白されているのを偶然聞いちゃって……」
「わぁ、そうなんだ。さすが敦瑠くん、やっぱり人気なんだね」
「……えっ!?」
〝人気〟と言った菜々花に、わたしは聞き返すように声を上げてしまった。
もちろん、顔が整っていてかっこいいのは中学から知っている。
当時も人気があって、後輩から話しかけられているのを見かけた。
だけど今まで〝友達の敦瑠〟が女の子からどういうふうに想われているのかを、あまり意識して考えていなかったのかもしれない。
「沙耶、シャーペンあった?」
「うん、あったよ。ごめんね、待たせて。遅くなっちゃった」
落ち着かない気持ちのまま自分の席に置いている鞄を持ち、菜々花の席へ向かう。
菜々花は、鎖骨までの黒髪にぱっちりとした二重のかわいい女の子。
一年生のときに仲良くなって、二年生のクラス替えでも同じクラスになることができた。
なんでも話せる、一番の友達。
菜々花の前の席から椅子を借りて座ると、わたしは無意識に大きく息をついてしまった。
「どうしたの?」
「あ、ううん。なんでもない」
心配そうな表情で尋ねてきた菜々花に笑って答えたけど、「本当?」と真っ直ぐわたしを見てくる彼女から目を逸らす。
敦瑠との会話を思い出して、それがなぜか気になってしまうし、よくわからなかった。
やっぱり黙っているのは落ち着かないから、話しておこう。
「実はさっきね、敦瑠が女の子に告白されているのを偶然聞いちゃって……」
「わぁ、そうなんだ。さすが敦瑠くん、やっぱり人気なんだね」
「……えっ!?」
〝人気〟と言った菜々花に、わたしは聞き返すように声を上げてしまった。
もちろん、顔が整っていてかっこいいのは中学から知っている。
当時も人気があって、後輩から話しかけられているのを見かけた。
だけど今まで〝友達の敦瑠〟が女の子からどういうふうに想われているのかを、あまり意識して考えていなかったのかもしれない。

