はじめての恋は、きみと一緒。

 もうすぐデートが終わっちゃう。

「……今日、楽しかった」

「そっか。俺も楽しかった」

 薄暗くなった歩道を進みながら、ぽつりと呟くように落とした言葉に敦瑠が微笑んで答えた。

「あっという間だったな。学校でも会えるけど、まだ沙耶の家着きたくねーって思う」

「あはは、なにそれ?」

 同じリズムで動いていた足もとを見つめたまま、鼓動が全身に響いていくのを感じる。

 思ったことを素直に伝えたかった。

「やっぱりちょっと、わたしもそう思ったかも」

「……沙耶」

 少し間を置いて名前を呼んだ敦瑠が、わたしの手を掴む。

 ドキッとしながら立ち止まって、ゆっくりと彼の方を見た。

 ちょっとだけ、腕が引っ張られて。

 敦瑠の顔が近づいてきたから、思わずぎゅっと目を瞑ってしまった。

 唇がそっと触れたのは、頬だった。

「なんで目閉じたの?」

 目を開けて敦瑠を見上げると、意地悪っぽく笑っている。

 からかってる!?と思って文句を言おうとしたけれど、その前に唇が頬に触れたのを思い出して顔が熱くなった。

「び、びっくりしたから……!」

 キスだと思った、なんて言えない!

 でも待って、頬にキスされたよね!? これも結局キスだったわけで……!

 混乱して頭の中がぐるぐるしているわたしを、敦瑠は面白そうに見ている。そして、わたしの手を握り直し、再び歩き出した。