はじめての恋は、きみと一緒。

 そんなわたしの様子をわかっているのか、敦瑠はぎゅっと手を握り直す。

 ドキドキしすぎて、この胸の鼓動が繋いだ手から敦瑠に伝わってしまわないか、心配になってくる。

 人々が行き交う通路で、敦瑠とわたしだけに特別な時間が流れているみたい。

 ずっと足もとしか見ることができていないけど……。

 駅までの道のりは長いような、短いような、不思議な感覚だった。

「家まで送ってく」

「う、うん」

 改札を通るときに繋いだ手は離れて、少しの間敦瑠の手を追ってしまった。

 ふわふわした気持ちがやっとおさまってきたと思ったのに、電車に乗り込んでからしばらくして、敦瑠があたりまえのように発した言葉に胸がときめいた。

 車内のドア付近に並んで立っているとなりの敦瑠を、ちらっと盗み見る。

 敦瑠がわたしの家まで送ってくれるは、珍しいわけじゃない。

 遊んで帰るときは、送ってくれる。

 それなのに、いちいちドキドキしてしまう。

 このままたくさん心臓が鳴っちゃったら、わたしどうなっちゃうのかな。

 はじめてじゃないのに、はじめてみたいに。

 全部新鮮な感覚になるなんて、考えもしなかった。

 胸が高鳴りすぎて疲れて倒れちゃうなんてこと、ないよね……?

 頭の中でごちゃごちゃ考えている間、敦瑠がなにか話していたらしい。

 わたしの顔を覗くように見てきた。

「おい、聞いてる?」

「な、なにが!?」

「だから、着いたら駅前のコンビニ寄っていい? 菓子買って帰る」

「……わかった」

 ちょっと顔が近づいて動揺してしまったが、すぐに立て直したわたしは平静を装ってうなずく。

 そして、電車を降りたあとはコンビニに寄って、わたしの家へと歩き出した。