はじめての恋は、きみと一緒。

「俺が全部頼んでくるから、沙耶は適当に待ってて」

「えっ……ううん、わたしも一緒に行く!」

「そうか?」

 ひとりだけ待っているのも、悪い気がするし……。

 でもせっかく頼んでくるって言ってくれたのだから、ここは待っているべきだった?

 ていうか、こうやって一緒に買っているとカップルみたいかも、なんて。

 落ち着かない気持ちのままチケットを購入した後、飲み物とポップコーンを頼んでシアター内へと入場した。

 映画はコメディ作品なので、面白い場面ではクスッと笑うお客さんの声が響く。

 ずっとそわそわしていたわたしだったけど、映画は夢中で見てしまって、終わった後は敦瑠と感想を話し合っていた。

「はぁ……結構話題の映画だったから見たいなって思っていたんだけど、本当に面白かったね!」

「そうだな。主人公の顔芸もすごかったし」

「本当それ! あれ流行るかも」

 エスカレーターで下の階へ移動しながら話している途中、一段後ろにいる敦瑠を振り返ると、敦瑠がわたしのことを穏やかな表情で見ていることに気づいた。

「な、なに……?」

「ん? いや、いつもの笑顔だなって。俺もやっと緊張とけてきた」

 そう言って頬を緩めた敦瑠にドキッとした。

 いつのまにかわたしも、ずっとあった緊張がなくなっているけど。

 こうやって敦瑠の表情に胸が高鳴っちゃうから、結局気持ちは落ち着かない!

「さ、さすがにお腹すいたからご飯食べようよ」

 思わず目を逸らしてしまったわたしは、エスカレーターを降りたところでそう言って、なるべく平静を装った。