はじめての恋は、きみと一緒。

 鳴川先輩はなにも言わないわたしの様子を窺うように見ていた。

「沙耶、言いたいことがあるなら言った方がいいよ」

 そう言って腕を掴んできた菜々花に、そうだよねとうなずいたわたしは、小さく息をついた後鳴川先輩に視線を向けた。

「用具係ではいろいろと助けてくれてありがとうございました」

 たとえ誠実なやさしさではなかったとしても、用具係でお世話になったのは事実だ。

 お礼を言ったからか、ほっとした表情をした鳴川先輩を見据えながら、わたしは話を続ける。

「お昼休みのときは面白がって話されていたのがショックでした。先輩は他に遊んでいる女の子がいるって話しているのを聞いたので、わたしのことは構わなくていいと思います。余計なお世話かもしれないですけど、彼女を大事にしてあげてください」

 なるべく穏便にわたしは伝えた。

 相手は男の人だし、喧嘩になったら力では適わない。

 だから伝えたいことを落ち着いて話すべきだと思った。

 これであまり話しかけてくるようなことは、なくなるかな?

「えー……うん、まあそうだよね。でもこうやって話すのはいいよね? せっかく仲良くなったんだし」

 そう言って陽気な笑顔を見せてくる鳴川先輩に、わたしはなんて答えようか悩んで黙ってしまう。

 お昼休みのことはもう謝ったから済んだ話だと思っているのかな?

 遠回しに関わりたくないと言ったつもりだったのに……。

 たしか、わたしのことを落とせるかみんなで予想しようなんて話をしていたし、それで先輩はこんなに喋りかけてくるのかも。