はじめての恋は、きみと一緒。

 菜々花は静かにうなずいて、歩く速度をわたしに合わせてくれた。

 けれど、鳴川先輩が駅の構内に入るところでわたしの姿に気づいてしまった。

 こちらを見て一度目を逸らしたのに、なにか思い立ったように周りの友達たちに声をかけ、鳴川先輩はわたしの方に向かってくる。

 関わりたくないのに!

 そんなわたしの心の声なんて聞こえない先輩は、申し訳なさそうな笑みを浮かべながら声をかけてきた。

「沙耶ちゃん!」

 話したくないな……。

 そんなことを思いながら、一応先輩なので小さくお辞儀をする。

「今日はお疲れさま。いつもより早く帰れたから、友達と遊んでたの? 俺らもなんだ」

 鳴川先輩は当たり障りのない会話からわたしの機嫌を窺うような様子を見せる。

 気まずいのなら、どうして話しかけてきたのだろう。

 そんなことを思っていると、菜々花はムッとした顔で先輩のことを見ていた。

「あの、なにか用ですか? 沙耶のこと転ばせた人って、先輩ですよね?」

 冷静にそう言った菜々花に驚く。

 そういえば、鳴川先輩のことを話したときの菜々花も普段見せないような怒った顔をしていた。

 きつい表情は崩さずにじっと見てくる菜々花に、先輩は少し身をすくませてから気遣うような笑顔を見せた。

「そう、昼休みのこと謝りたくてさ。体が当たって沙耶ちゃんが転んじゃったこともそうだし、周りに流されて沙耶ちゃんのことひどい言い方しちゃったなって。ごめんね?」

 優しい口調で話して謝っていても軽薄にしか聞こえない。

 あのときわたしのことを面白がって話していたことが、本当に腹立たしいと感じる。