はじめての恋は、きみと一緒。

 会話をしないのは不自然だと思ったわたしは、慌てて声をかける。

「が、がんばれって言ってくれたの、聞こえたよ!」

「おう。やったな、一位」

 そう言って笑った敦瑠に、胸の奥がくすぐったくなった。

 彼の笑顔は心地よくて、わたしの中でずっと特別だったのかもしれない。

 自分の気持ちを認めた途端、想いをとどめておくことが難しくて、なにか言葉にしたいのに、上手くできそうにない。

 ひとりで戸惑っていると、他の学年の集団がはしゃぎながらわたしたちの横を通っていって、はっとした。

 体育祭の途中なのに、なにしてるんだろう……!

 今までいっぱい見てきたはずなのに、敦瑠の笑顔に見惚れてぼうっとしてしまった。

 冷静になって、菜々花たちのところへ向かおうとしたけど、敦瑠がわたしの手を掴んだ。

「敦瑠……?」

 賑やかな生徒たちから離れるように、そのままグラウンドの端へと移動する。

 そして敦瑠は、わたしの顔を覗き込むように見た。

「……もう平気なのか?」

「な、なにが?」

「昼間のこと。ぼうっとしてたから、気にしてんのかなって」

 ぼうっとしちゃったのは敦瑠のことを考えていたからなんだけど……心配してくれているんだ。

「あれはもう、本当に大丈夫だよ」

 わたしが答えると、敦瑠はほっとしたような表情になった。

 そして、ゆったりと口角を上げる。

「あのさ、今度の日曜日ふたりでどっか行こう」

「えっ?」

「デートってやつ」

 ぽかん、としたままでいるわたしに、敦瑠は吹き出した。

「おい、マヌケ顔やめろって」

「だ、だって、デートっていきなりびっくりしたから……!」

「俺考えたんだ。友達って枠から抜け出さないと意味ねぇなって。だからまず、俺が沙耶のこと特別な女の子として見てるってこと、ちゃんとわかってもらいたい」