はじめての恋は、きみと一緒。

　途中で言葉を制止されたわたしは、ぽかんとしてしまった。

　敦瑠の好きな人……。

　なんだか胸のあたりがそわそわしてきて、心臓の音が速くなってきた。

「ふうん、そうなんだ。……好きな人いるんだ」

　敦瑠の好きな人って誰なんだろう。知りたいような、でも聞くのが怖い感じがする。

　いや、ちょっと待って、なんでわたしいちいち気にしているんだろう。敦瑠の好きな人が誰でも別に……普通に『誰なの？』って聞いて、それで……。

「が、がんばれ！　その子と付き合えるといいね！」

「……どうかな。今のままだと望みは薄いと思う」

　結局誰とは聞けず、応援の言葉で留めたわたしから視線を外した敦瑠の横顔が、切なそうに見えた。

　だから影響されてわたしの胸もズキズキしたのかも。

　意外だった。もっと明るい感じで好きな人のことを話すと思ったのに。

　そんな表情をするくらい好きな人が敦瑠にはいるんだ。

　全然、知らなかったなぁ……。

　ほんの少しだけ歩幅を狭めてうつむいたわたしは、胸のあたりがまだすっきりしていないことを、どうしてなんだろうって考えていた。