はじめての恋は、きみと一緒。

 そんなことを考えていたら、はっとしたように敦瑠はわたしから離れた。

「……購買、行くぞ。絢斗たちも待ってるし」

「う、うん。そうだね」

 視線を逸らした敦瑠はわたしに背を向けて、そのまま歩き出す。

 ぎこちない彼の態度と同じようにわたしもそわそわしながら、後を追いかけた。

 心臓の音は速いまま。

 抱きしめられた瞬間が何度も頭に浮かんで、顔が火照ってくる。

 わたし、敦瑠のどんな言葉を待ってた……?

 考えれば考えるほど、特別な気持ちが胸に広がっているのを感じていた。



 擦りむいた手を洗って、敦瑠と購買に寄ってから菜々花と梶本くんのもとへ戻り、四人でお昼ご飯を食べた。

 少し遅くなってしまったのでふたりに謝ると、『大丈夫だよ』と微笑んでくれた。

「購買の焼きそばパン、ゲットできなかった! あれ人気だよなぁ」

 がっかりしながらそう言った敦瑠は、レタスとハムのサンドイッチを口に運ぶ。

 敦瑠はいつも通りだ。それなのにわたしは、抱きしめられたことを思い出して頬が火照ってしまうのを抑えるのに必死だった。

 みんなと会話していても、どこかぼうっとしてしまう。

 鳴川先輩のことはショックだったけど、それよりも敦瑠のことばかり考えてしまう自分がいて、胸がそわそわする感じが続いていた。



「敦瑠くんとなにかあった?」

 お昼休みが終わり、午後の部がスタートして他学年の競技を応援席から見ていたとき、隣にいた菜々花が心配そうに尋ねてきた。

「ふたりが一緒に戻ってきてから、沙耶あまり喋ってなかったし……」

 わたしの口数が少なかったのをおかしいと思ったみたい。