はじめての恋は、きみと一緒。

 沸きあがってくるいろいろな感情が爆発しないように抑え込んで、ゆっくりと静かに息を吐いていると、敦瑠の呆れたような声が降ってきた。

「お前見る目ないんだよ」

 本当に、そうだと思う。

 言い返す気は起こらず、下を向いたまま唇を噛んでいると、敦瑠の腕がわたしの肩に回ってぎゅっと抱きしめられた。

 えっ……?

 突然のことに驚いて、わたしの体は硬直した。

 心の中では慌てているのに、なんだろう、くすぐったいときめきがあふれてくる。

 だんだん体の強張りが解けてくると、わたしのことをしっかりと腕の中に閉じ込めている敦瑠の温もりにほっとした。

 頭を撫でるように動いた優しい手に、目もとがじわりと潤み出す。

「くやしいな……わたし、バカだ……」

 ちょっとだけ、涙声になってしまった。

 もう、こんなところで、敦瑠の前でみっともないよ。

 結んだ唇に力を入れて我慢していると、わたしを抱きしめる腕にぐっと力が入った。

「あの先輩のこと、本気だったのか?」

 敦瑠の声が少しムッとしているように感じたので表情を確認しようと思ったけれど、抱きしめられているからできなかった。

「先輩のことは、ちょっと気になったって感じで……先輩がわたしのこと遊んでそうって思って声をかけてきたとか、そういうのを見抜けなかったのがくやしい! それで少し弱っただけ!」

「本当か……?」

「本当! バカみたいって思ってるもん、自分のこと!」

 わたしも鳴川先輩に直接文句を言えばよかった。後からそういう気持ちになってきてモヤモヤしていると、敦瑠が耳もとでそっと声を出した。

「あんなやつより、俺だったらお前のこと……」

 ドキッとして、再び体に力が入る。

 敦瑠……。

 温もりを感じながら、昨日好きだと言ってくれたことを思い出した。

 わたしのことを心配して慰めてくれる男の子は、敦瑠しかいないかもしれない――。