はじめての恋は、きみと一緒。

「恥ずかしいなぁ、思いっきり尻もちついちゃったよ」

 重たい雰囲気が嫌で笑いながら言ってみたのに敦瑠の表情は緩まなくて、明るく振る舞っても意味がないと感じたわたしは、視線を落とした。

 すると、敦瑠が気遣うような声を出す。

「手、大丈夫か?」

「あ……うん」

「午後も競技があるし、無理するなよ」

「平気。動かせないとかじゃないし」

 擦りむいただけだから、手を洗えば大丈夫だろう。

 それでも、しばらく敦瑠は心配そうにしていた。

 彼の優しさが心に染みる。

「……敦瑠が来たから、びっくりしたよ」

「昼飯買うついでに、購買でなにか買いたいものがあるか、聞くために追いかけたんだ」

「そっか……」

 もし敦瑠がいなかったら、先輩たちの会話を聞いたわたしは立ち尽くしたままひとりで落ち込んでいたと思う。

 先輩の言葉を思い出して悲しい気持ちになったとき、敦瑠がそっとわたしの頭を撫でた。その瞬間、隠せない想いが滲み出す。

「鳴川先輩、彼女がいるって。それなのに、他の女子とも遊んでるらしいよ」

 聞こえていたのだから、敦瑠はわかっていると思う。

 だけどわたしは、喉の奥が苦しくなるのを感じながらも、話さずにはいられなかった。

 先輩のことをいい人だと思っていた自分が恥ずかしくて、みじめで、バカみたいで、くやしくて……。

「軽そうな先輩って、敦瑠が言っていた通りだったよ……」