はじめての恋は、きみと一緒。

 友達の前で、年下に舐められていると思われたくなかったのかもしれない。

 鳴川先輩が急に敦瑠に迫ってきたので、それを止めるためにわたしはふたりの間に入った。

「や、やめてください!」

 敦瑠に掴みかかろうとした鳴川先輩にぶつかってしまったわたしは、そのまま地面に倒れ込んだ。

「痛っ……」

「沙耶!? 大丈夫か!?」

 すぐにかけ寄ってきた敦瑠が心配そうな表情でわたしを見る。

「大丈夫」と笑みを浮かべたけれど、左手が痛い。

 手をついたときにコンクリートの地面で擦ってしまった。

「どこか痛いのか?」

 わずかに顔を歪めたのを見逃さなかった敦瑠が、不安そうに尋ねてきた。

「少し掌が痛いだけだよ」

 一時的なものだと思うから、わたしは再び笑って手を揺らして見せたけど、しばらくヒリヒリするだろうな。

 眉を寄せていた敦瑠は、鳴川先輩へ睨むような視線を向ける。

 先輩はわたしが転んだことに慌てているようだった。

「急に間に入ってくるからだろ!」

 わたしと目が合うと、自分は悪くないと言いたげに顔を逸らした鳴川先輩に、こんな人だったんだと呆れた。

「む、向こうに行こうぜ」

 周りの友達に声をかけた鳴川先輩がこの場から去ろうとしていて、同時に敦瑠が立ち上がる。先輩たちが移動するのを止めようとしているんじゃないかと思ったわたしは、敦瑠の腕を痛くない方の手で掴んだ。

「もういいよ、敦瑠」

「でも……」

「よくわかったから、先輩のこと」

 ため息をついて立とうとすると、険しい顔をしたままの敦瑠がわたしを支えて、起き上がらせてくれた。