はじめての恋は、きみと一緒。

 視界に入った見慣れた後ろ姿は――敦瑠!? 彼は先輩たちの声が聞こえる方へ歩いていく。

「今の話、沙耶に失礼なんで謝ってください」

「は? なんだよ、いきなり!?」

「……でかい声で話してて、全部聞こえてるんだよ。謝れ!」

 敦瑠の低い声にはっとしたわたしは駆け出した。

 壁に身を寄せて体育館裏を覗くように見ると、敦瑠と鳴川先輩が睨み合っている。その周りに三年生の男子が数人いた。

「なんで俺が謝らなきゃいけないわけ? 意味わかんねぇよ」

「沙耶は軽い女じゃない。遊んでそうとか、勝手なこと言ってただろ!?」

 険しい表情をしている敦瑠にたいして、鳴川先輩は眉を寄せる。

 周りの三年生も最初は困惑していたが、だんだんと敦瑠に厳しい視線を向けはじめた。

 ふたりの間は少し距離があるけれど、どんどん険悪になっていく雰囲気を感じてまずいと思った。

「敦瑠……!」

 ここで止めないと、喧嘩になるかもしれない。

 そう感じたわたしは、敦瑠のもとへ向かった。

 わたしが現れると鳴川先輩は「さ、沙耶ちゃん?」と動揺したような声を出す。

 今、わたしがなにか言ってもこの人は誤魔化すだろうなと、そう思える態度だった。

 先輩をちらっと見た後、わたしはすぐに視線を敦瑠へ向けた。

「戻ろうよ。菜々花と梶本くん、待ってるし」

 なるべく自然に声をかけるけど、敦瑠は動こうとしない。

「まだ話終わってねぇよ。沙耶の前で謝らせる」

「い、いいよ、そういうのは」

 これ以上緊迫した雰囲気になるのが嫌で、なんとかこの場から離れたいと思うのに、敵意をむき出している敦瑠の態度に鳴川先輩が勢いよく反応した。

「おい、いい加減にしろよ……!」