はじめての恋は、きみと一緒。

「……そうだ、わたしちょっと用具のことで確認したいことがあるから、聞いてくるね。先にご飯食べてて」

「わかった。木陰で座ってるね」

「了解」

 返事をして応援スペースを抜けたわたしは、そのまま足早で校舎の方へ向かった。

 敦瑠が近くにいるとまた落ち着かない気持ちになりそうで、本当は用具のことで確認したいことなんてないけれど、なるべく自然に見えるようにみんなから離れるため、そう言ってしまった。

 このまま戻らなかったら変だから、とりあえず一番遠い外の水道に手を洗いに行ってから菜々花たちのところへ戻れば、時間的にちょうどいいかもしれない。

 その間に平静でいられるように言い聞かせるんだ。

 グラウンドの端を歩きながらそんなことを考えて、わたしは体育館の方にある水道に向かった。

 お昼休憩なので、体育館のそばにある石段に座ってお弁当や購買のパンなどを食はじめようとする生徒が複数いる。

 体育館と中庭のちょうど間にある水道で手を洗っていると、体育館裏の方から話し声が聞こえた。

 日陰だからそこでご飯を食べている生徒がいるのだろう。

「こんなの午後もあるとか面倒だなぁ。早く帰りたい」

「おいおい、実行委員だろ? 最後までしっかりやれよ、鳴川」

 えっ、もしかして鳴川先輩?

 先輩に聞きたいことがあったけれど……今は友達と一緒みたいだから、声をかけるタイミングではないよね。

「実行委員はじゃんけんで負けたから仕方なくだよ。ったく、放課後時間とられて女の子と遊べなかったし」

「鳴川、今何人と付き合ってんの?」

「えー、わからない。三人くらいかな」

 聞こえてきたなんとも言えない会話に唖然としながらも、水道の蛇口をキュッと閉めた。