はじめての恋は、きみと一緒。

 昨日、いつも通りでいるって決めたのに、やっぱり無理だよ!

 そっとこの場から離れちゃおうかな、なんて考えていたら自分以外の靴が視界に入ってきて、思わず顔を上げると近づいていた敦瑠と目が合った。

「沙耶」

「な、なに?」

「髪型、かわいいよ」

「……え?」

 どうしよう、目が合っちゃった!と焦っていたのに、ほんのりと頬を染めている敦瑠にわたしは固まってしまう。

 かわいいなんて、今まで敦瑠に言われたことあった?

 もう頭が混乱しちゃうよ!

 なんだか敦瑠は照れているような感じだし、わたしまで顔が熱くなってくる。

 すると居た堪れなくなったのか、彼はそれ以上はなにも言わず自分のクラスの応援スペースにすたすたと歩いていってしまった。

 恥ずかしいなら、言わないで!

 そんな文句が浮かびながらも、敦瑠の後ろ姿を見つめてしまう。

「沙耶、敦瑠くんといつも通り話せた?」

 梶本くんと会話を終えた菜々花がわたしのところへやってきて、顔を覗き込むように見てきた。

「た、たぶん……」

 歯切れ悪く答えたわたしは、敦瑠が歩いていった方向にもう一度目を向ける。

 いつも通りじゃなかった。

 敦瑠が今までとは違うように思えてくる。

 なにかが少しずつ変化しているのを感じて困惑すると同時に、胸の音は騒がしく鳴っていた。



 落ち着かない気持ちのまま、体育祭がスタートした。

 用具の係があったので、ぼうっと考える隙はなかったけれど、遠目で敦瑠を見かけたときはドキッとして心臓の音がうるさくなった。

「次は二年生男子の棒引きだって!」

 応援スペースに戻ったわたしに菜々花が声をかけてきて、前列の方へと引き寄せる。