はじめての恋は、きみと一緒。

 ああもう、この気まずい状態をなんとかしたい!

「まさか敦瑠が告白されている場面に遭遇しちゃうなんてね!」

 微妙な空気に耐えられなくなり、明るく笑ってそう言ったわたしを、敦瑠はちらっと見た後すぐに視線を逸らした。

 ますます状態悪化なの!?

「え、えっと、あ、そうだ、購買でジュース買っていこうかな……」

 予想していた反応と違って焦ったわたしは、思いついたことを不自然につぶやきながら勢いをなくして斜め下を見る。

 ふたりでこういう話をするの、慣れてないんだよね。

 でも、どうしようって考えても仕方がない。

 いつもの雰囲気じゃないのが嫌だと思ったわたしは、一歩前に出て敦瑠に振り向いた。

「ちょっと、気まずいのはわかるけど、あまりにも態度に出すぎ! もしかして女の子からはじめて告白された? やっぱり断らないで付き合えばよかったって、後悔してるの?」

 わたしが冗談っぽく聞くと、彼はクセのついた髪を触りながら困ったような表情になって目を逸らす。

「いや、別にはじめてじゃないし、後悔もしてないけど」

「あ……そ、そうなんだ」

 ――告白されたのがはじめてじゃないってことは、今までもさっきみたいに告白されて断っていたってこと?

 高校に入ってから敦瑠とはクラスが違っても休み時間に話をするし、家の方向が同じだからふたりで帰ることもある。

 男子の中では結構一緒にいることが多かった。

 だけど、敦瑠はわたしの前で他の女子の話とかあまりしなかったし……。

 告白されて試しに付き合ってみようって、思わなかったのかな。

 考えながらなにか胸に引っかかるようなものがあって、わたしは敦瑠をじっと見つめた。