はじめての恋は、きみと一緒。

 しばらくじっとしていたけど沈黙に耐えられなくなってきて、この場にはいられないと思った。

「……か、帰る!」

 そう告げて敦瑠から離れようと思ったのに、顔を上げて彼を見たわたしは動けなくなってしまった。

 目の前の敦瑠が、すごく切なそうな表情をしていたから。

 どうしてそんな顔をしているの?

 そう思った瞬間グイッと肩を掴まれたわたしは、すぐそばの壁に押しつけられた。

「ちょっと、敦瑠……?」

「ずっと黙ったままでいようと思ってた」

 静かに声を出した敦瑠に、胸の鼓動がどんどん速くなる。

 どうしたの……?

 見つめてくる敦瑠から目が逸らせない。

「俺のことなんて沙耶はなんとも思ってないってわかってるから、友達としてそばにいられるなら、それでいいと思ってたんだ。でも、鳴川先輩みたいな人が沙耶に近づいてきて……無理。我慢できなくなった」

 そう言った彼はぎゅっと口を閉じて、だけどすぐに唇を開く。

「沙耶が好きだ」

 真剣な眼差しの敦瑠が静かにこぼした言葉に、ドキッとした。

 体は固まったまま、わたしは今聞いたものを何度も頭の中で繰り返す。

 好きって、それって……。

「敦瑠……好きな人いるって……」

「俺はずっと、沙耶が好きなんだ」

 わたしの肩を握る手にぎゅっと力を入れた敦瑠は、眉尻を下げる。

 さっきから速い脈拍が全身に響いているのを感じながら、わたしはゆっくりと敦瑠から視線を逸らした。