はじめての恋は、きみと一緒。

 前日準備をしている生徒と部活動のある生徒以外は、とっくに下校しているだろう時刻。

 どうしたんだろう?と疑問に思っていたら、わたしに気づいた敦瑠がじっとこちらを見つめてきた。

 ……もしかして、わたしに用があるのかな?

 そう感じて、声をかけるために彼のもとへ向かった。

「敦瑠、残ってたの?」

「うん。お前に話があって」

 もたれていたドアから背中を離した敦瑠は、真剣な表情をしていた。

 こうして待っていたってことは、大事な話なのかな。

 実行委員のみんなが、「光島さん、お疲れ様」と声をかけて帰っていく。それに応えて見送った後、ゆっくりと敦瑠に視線を戻した。

 さっきから敦瑠はずっと表情が変わらないし、なにかよくない話なのかもしれないって不安になってきていた。

 下駄箱のそばまで移動してそわそわしていると、他の学年の生徒が昇降口を出ていくのを確認した敦瑠が、静かに口を開く。

「あの鳴川先輩っていう人、気をつけろ。優しいからって、あまり信用するなよ」

「え、ちょっと待って、いきなりどうしたの?」

 眉を寄せている敦瑠に、わたしは困惑する。

 気をつけろって、なに?

 意味がわからないと思っていると、敦瑠は言いづらそうに理由を話し出した。

「昨日、鳴川先輩っていう人が他校の制服着た女子と一緒にいるのを見た。たぶん、彼女だと思う。ふたりともずっとくっついていたから」

 え……?

 わたしは固まって敦瑠を見つめていたけど、沸きあがってきた言葉を流れるように口にする。

「彼女……って、一緒にいたその女の子は友達なんじゃない? 普通彼女がいたら、他の女子に一緒に帰ろうなんて言わないだろうし……」

 声をかけたいと思っていたとか、かわいいなんてことも言わないよね?

「そういうことが平気でできる人なんだろ。だから気をつけろ」

 険しい顔で敦瑠がそう言うけれど、わたしは信じられなかった。