はじめての恋は、きみと一緒。

「実はね、ちょっと気になる人ができたっていうか」

「えっ、気になる人!?」

 普段と変わらないトーンで話しだしたのに、菜々花が予想外の驚きを見せたので、わたしは慌てる。

「ちょっ、声大きいよ!」

「ご、ごめん、沙耶が〝気になる人〟って言うからびっくりして」

 菜々花はレモンティーをひとくち飲んで、息をついた。

 それを見てわたしも、飲み物を手に取る。

 いつも恋の話は聞き手に回っていたので、ちょっとそわそわしてきた。

「気になる人って誰?」

 興味津々という表情の菜々花に、わたしは頬が緩むのを抑えるように唇を一度結んでから、口を開いた。

「三年生の、鳴川先輩っていう人。実行委員で一緒なんだけど」

「先輩……!? どんな人なの?」

「爽やかで優しい感じかな」

「そうなんだぁ。優しいって大事だよね」

 うなずいた菜々花は、サンドイッチを口に運んでいる。

 わたしの方は、気恥ずかしさが込み上げてきていた。

「ま、まだ気になるって感じだけど、ついにわたしにも好きな人ができるかも……」

「わぁ、沙耶の恋の話が聞けるんだ!」

 そう言った菜々花にたいして、照れているわたしは小さく笑ってお弁当に視線を向けた。

 いつもかっこいい人を見つけて騒いでもそれだけで終わっていたし、これが恋になればいいなと思う。

 どうなるのかなって考えていたら、菜々花が静かな声色で尋ねてきた。

「敦瑠くんは、沙耶に気になる人ができたって知ってるの?」

「え? あー……気になっているとは話してないんだけど、敦瑠は鳴川先輩のこと軽そうとか言ってた。そんなことないのに」

 鳴川先輩のことを聞かれたのを思い出したわたしは、不満を抱きながら答える。

 でも、どうして敦瑠が出てきたのか気になっていたら、菜々花が遠慮がちに話を続けた。