はじめての恋は、きみと一緒。

 鳴川先輩って、面倒見のいい優しい先輩だな……。

 外にある体育倉庫の前で集まっていた実行委員の打ち合わせが終わり、鳴川先輩のことを見ていたら、ふいに先輩がこちらを見た。

「お疲れ、沙耶ちゃん」

「あっ、お疲れ様です!」

 笑顔を浮かべる鳴川先輩は、わたしのすぐそばで立ち止まった。

「沙耶ちゃんって部活入ってるんだっけ?」

「いいえ、入ってないです」

「そうなんだ。それなら、駅まで一緒に帰らない?」

 顔を覗くように見てきた鳴川先輩にわたしは、笑って「はい」と返事をした。

 実行委員の集まりの後はいつもひとりで帰っていたから、誘ってもらえて単純にうれしかった。

 そういえば、男子の先輩と一緒に帰るのってはじめてだ。

「委員会のあと帰るとき、いつも声かけたいって思っていたんだ」

 校門を出て駅に向かう道のりをふたりで進んでいると、鳴川先輩が口もとを緩めながらそう言った。

 学年が違うのに委員会のメンバーとしてそこまで気にかけてくれていたの?

 目をぱちぱちさせていると、鳴川先輩がふっと笑った。

「沙耶ちゃん、かわいいね」

「……えっ!?」

「だから声をかけたかったんだよ」

 余裕のある表情でそう言った先輩に、わたしは思わず目を逸らしてしまった。

 かわいい……?

 鳴川先輩、なんともない感じでそんなことを言うのはやめてほしい! お世辞だとわかっていても、恥ずかしくなっちゃうよ。

 わたしは慌てて他の話題を考えた。

「あ、あの、体育祭当日、晴れの予報が出てよかったですね」

「そうだね。梅雨入りしたから心配だったけど、蒸し暑くなるみたいだ。暑いとバテそうだよね」