わたしと敦瑠は〝恋〟というものからは程遠いんだろうなって。

 一緒にいて楽しいのも敦瑠が隣にいると安心するのも、全部友達だから。

 だけど他の男の子とは一緒にいてもなにも思わないから、たぶん敦瑠は特別なんだ。

 ……どうして特別なんだろう?

 今までそんな疑問を持つことなんてなかったのに。



 週が明けた月曜日。

 敦瑠にその後の杉谷の様子を聞いたら、どうやら日曜日に他のメンバーたちとカラオケに行って、だいぶ元気を取り戻したらしい。

 気になる人に彼氏がいたっていうのは、やっぱりショックだよね。

 でも、元気になったならよかった。

 放課後は、体育祭の実行委員会が会議室で開かれた。

 体育祭は六月の中旬で、来週の金曜日。

 平日開催で一般の来校者はいないぶん、肩の力を抜いて競技を楽しみながらクラスの団結力を高めようっていう目的があるらしい。

 実行委員は各クラス男女一名ずつ。うちのクラスからは横村《よこむら》くんとわたしが委員会に参加する。

 はじめて同じクラスになった横村くんとはあまり話したことがなくて、一緒に実行委員として活動することになると、とても頼りになる人だというのがわかった。

 おとなしそうな見た目だけど、意見ははっきりと伝えてくれるし、とにかく気が利いて行動が速い。

「横村くん、さっきのプリントなんだけど……」

「ああ、それ俺がまとめて持っておくよ。用具の準備係の割り振りも、他のクラスと話し合って二年はほぼ決まったから。あとは実行委員長に確認してもらうだけ。全体のスローガンの案だけど、まだ浮かばないからもう少し待って?」

「えっ、うん……すごいね、ありがとう。じゃあわたし、委員長に確認とってくるよ」

 ぼうっとしていたら、わたしのやることなくなりそう。

 てきぱきと進める横村くんに驚きながら、書類を持って三年生のもとへ向かった。